その遺言、国際私法上実現できそうですか?(形式編)

国際相続

新型コロナウイルス感染症の影響により、突然大切な誰かが亡くなってしまう経験を身近なものとして捉える方が増えたのではないでしょうか。

 大切な誰かに自分の最期の意思を伝える機会を失ってしまうことは本当に悲しいことです。予測できない事柄が起こる昨今、相続法の改正に伴う新たな制度も含め、遺言という方法があらためてクローズアップされているように思います。

2019年1月13日に施行された直筆証書遺言の方式緩和や2020年7月10日施行の法務局における遺言の保管等に関する法律についてはご存じの方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は遺言の形式が国際私法上、適法に扱われるのかについて記載しました。

外国の法律に基づいて作成された遺言の方式については「遺言の方式の準拠法に関する法律」に規定されています。

 これによると、遺言の方式を有効とするのは下記5つあります。

1. 行為地法

2. 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法

3. 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法

4. 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法

5.不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法

 また、同法第四条には「(前二条の規定は、)二人以上の者が同一の証書でした遺言の方式についても、適用する」とあります。共同遺言は日本では無効となる形式です。

 つまり、日本以外の国の法律に基づく方式で作成された遺言書は、日本国内で認められていない方式でも有効なものとして取り扱われる場合もある、ということです。

もちろん、遺言の形式が有効であると認められても、遺言事項(内容)が法の適用に関する通則法等に照らし合わせてみると法的な効力が発生しない可能性もありますので、併せて確認する必要があります。

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